たとえ中国にある語学教室が、スカイプでレッスンを提供していても日本で受講者を募る限り日本の法律の下で営業が許されます。消費者を保護する「特定継続的役務提供契約」が適用されるのです。受講者からレッスン料の返却要求があれば、理由の如何に関わらず残金は全部返却しなければなりません。レッスン料を頂戴する前に「返却しません」と約束していても「特定継続的役務提供契約」の法律が優先され、「返却しません」の約束は無効となります。
教室経営者の中に、スカイプ中国語教室は「特定継続的役務提供契約」が適用されないと、根拠も示さず嘯くところもあります。
これは大きな間違いです。返却する気がないので、勝手に自分で理由をつけて「法律は適用されない」と受講者の方々に言っているだけです。どこの世界に法律適用除外のビジネスがありますでしょうか。語学教室はエステと同様に「特定継続的役務提供契約」が適用されます。従って、教室側は「返金の規則」を作成してお客様に明示し、お客様からの要求があれば未受講レッスン料は全額返却しなければならないのです。ただし、規則に書かれた小額の振込み手数料や事務手続料は返金額から除かれます。
以前、各地の駅前の一等地に教室を並べて受講者を募り、ある日忽然と門を閉じた語学学校がありました。彼らの手口は昔から決まった手法を駆使します。目に余る広告で受講者を集めて、長期の受講を要求して大金を手にし、「返却しません」の契約書にサインを求めます。語学教室の経営的知見から述べるなら、短期の受講料を頂戴し、繰り返しのお申し込みを頂戴する方が、教師の緊張感も持続し、指導への努力も惜しまないのでもっとも健全なのです。一度に長期の受講料を頂く理由は無いのです。あるとすれば、受講者が減って家賃の支払いに追われたり、教師への賃金支払いなどの資金ショートが生じている時です。スカイプ中国語教室であっても、基本的な状況は一緒ですから注意しなければなりません。
広告が多く、3ケ月以上の何十回もの多くの受講料を求めたり、そのくせ有効期間が短く、極端な値引きで受講者を勧誘し、堂々と「受講料は返却しません」と言っているところは、ほぼ間違いなく何らかの経営的問題を抱えているか、気づいていないか、最初から“その”つもりのどちらかです。